カテゴリー「地震・津波」の7件の記事

2010/03/04

【地震】続く海面変動

 2月27日に発生したチリ巨大地震に伴い、
日本の沿岸各地で1mを超える津波を観測してから
3月4日で丸4日が経ちましたが、依然として潮位の変動が続いています。
気象庁ホームページの「潮位観測情報」で各地のグラフを見てみると、
太平洋がいまだにチャプチャプと揺らいでいる様子が分かります。

 この実況を受けて気象庁は、
3月1日10時15分にすべての予報区の津波注意報を解除した後も
津波予報(若干の海面変動)を発表して注意喚起を行なっていますが、
この情報を2日・3日・4日と毎日、10時すぎに更新するという
異例の対応となっています。

 4日も10時38分に以下の「津波予報(若干の海面変動)」を発表、
この予報が現在も継続している形となっています。

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津波情報(津波に関するその他の情報)
平成22年03月04日10時38分 気象庁発表

津波予報(若干の海面変動)をお知らせします。

*************** 本文 ***************
海面変動の継続が予想される沿岸は次のとおりです。

 青森県太平洋沿岸、岩手県、宮城県、福島県、宮崎県、鹿児島県東部、
 種子島・屋久島地方、奄美諸島・トカラ列島、鹿児島県西部

[海面変動の見通し]
 これらの沿岸では津波に伴う海面変動が観測されておりますので、今後さ
らに1日程度は若干の海面変動が継続する可能性が高いと考えられます。

[留意事項]
 海に入っての作業や釣り、海水浴などに際しては十分な留意が必要です。

(以下略)
                              (気象庁ホームページより一部引用)
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 過去、一つの地震でこれだけの日数にわたって継続して
津波予報が発表されたことはないと思われます。
今回の津波のエネルギーの大きさを改めて感じさせます。

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2010/01/21

【地震】2日間有感地震の観測なし

毎日いくつもの有感地震が起きている日本列島ですが、
時にはこんなこともあります。

 気象庁の観測では、平成22年1月19日と20日は、
2日間にわたって震度1以上を観測した地震がありませんでした。

 詳しく見ると、1月18日06時23分に沖縄本島北西沖でM4.4、
座間味村で震度1を観測してから、
21日02時59分に伊豆半島東方沖でM4.2、伊東市で震度4を観測するまで、
2日と20時間36分、日本列島のどこにも有感地震の発生がありませんでした。

 暦日で2日間、有感地震皆無の日を探すと、
前回は2009年(平成21)3月29・30日、
その前が2008年(平成20)1月28・29日ですから、
およそ1年に1回程度の珍しい現象だったことが分かります。

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2008/01/14

【地震】釜石沖で固有地震発生

1月11日08時00分ごろ、岩手県沖を震源とする地震があり、
岩手県山田町や大船渡市などで震度3を観測しました。

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平成20年01月11日08時09分 気象庁地震火山部 発表
11日08時00分頃地震がありました。
震源地は岩手県沖 ( 北緯39.3°、東経142.1°)で震源の
深さは約50km、地震の規模(マグニチュード)は4.9と推定されます。
各地の震度は次の通りです。
なお、*印は気象庁以外の震度観測点についての情報です。
岩手県 震度3 山田町八幡町 山田町大沢* 大船渡市大船渡町
          陸前高田市高田町* 釜石市只越町 釜石市中妻町*
          大槌町新町* 北上市二子町*
                             (気象庁HPより引用)
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一見、なんの変哲もない、よくある地震のように見えますが、
この地震、その発生が「ほぼ予測」されていたものでした。

今回の地震の震源である岩手県釜石沖では、
北緯39.3°東経142.1°付近の深さ約50kmのところで
M4.8±0.1と規模の揃った地震が、
ほぼ5.5年という規則正しい間隔で
繰り返し発生しているのが確認されています。

これは沈み込む太平洋プレートと陸側のプレートの
同じ領域が繰り返して滑ることで引き起こされていると考えられており、
「繰り返し地震」、あるいはその領域に固有の地震であることから
「固有地震」などと呼ばれています。

日本地震学会「なゐふる」31号
http://wwwsoc.nii.ac.jp/ssj/publications/NAIFURU/vol31/v31p2.html

この領域での前回の地震発生は2001年11月13日で、
既に平均間隔の5.5年を過ぎ、
いつ起きても不思議ではない状態でした。
東北大学の松澤暢準教授は発生時期について
2007年5月±21ヶ月という予測を発表していましたが、
6年と2か月弱(=6.16年)での発生となったわけで、
ほぼ予測通りの発生と言えます。

東北大学地震・噴火予知研究観測センター
http://www.aob.geophys.tohoku.ac.jp/~uchida/kenkyuu/kama/kamaishi.html

今回の地震の特集ページ
http://www.aob.geophys.tohoku.ac.jp/info/latest/20080111_news/index_html

こうした繰り返し地震の研究は、
プレート間で発生する地震のメカニズムを知る上でも重要で、
プレート境界型大地震の予知につながると期待されています。
今回、ほぼ予測通りの発生となった地震から、
さらに新たな知見が得られることを期待したいと思います。

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2007/09/08

【地震】8/2サハリン津波は副振動か

 8月2日にサハリン西方沖で発生した地震の際、
北海道日本海沿岸北部に津波注意報が発表され、
留萌や稚内などで0.2m程度の潮位変動が観測されましたが、
その後の調査で、この変動は津波ではなく、
気象擾乱に伴う副振動である可能性が強いことが分かったそうです。

 気象庁報道発表資料
  「平成19 年8月の地震活動及び火山活動について」
 http://www.jma.go.jp/jma/press/0709/07a/0708jishin.pdf

 この資料によれば、気象庁は11時37分の地震発生後、
11時45分にいったんは「津波の心配なし」を発表していました。
ところが13時過ぎになって留萌や稚内で潮位変動が観測され始めたことから、
13時37分に「北海道日本海沿岸北部に津波注意報」を発表、
留萌や稚内で最大 0.2m程度の潮位変動を観測しました。

 アメリカ海洋大気庁によれば、
震源近傍で0.1~0.2mの津波が観測されているとのことなので、
確かに津波は発生しているようですが、
気象庁の調査で次のような謎が浮かび上がってきました。

1)シミュレーションでは、北海道での潮位変動は2~3cmと観測値の
  1/10程度にしかならない。また変動の周期も違う。
2)留萌の潮位変動開始時刻が、第1波予想時刻より30分程度早い


 実は潮位変動とほぼ同じころ、北海道西岸を気象擾乱が通過、
留萌などで約3hPaの気圧変動や風の急変を観測していました。

 こうしたことからこの潮位変動は、
ごく一部に津波が含まれている可能性があるものの、
気象擾乱によって励起された副振動である可能性が高いとしています。

 副振動では、長崎湾の「あびき」が有名で、
時に津波並みの数10cmに及ぶ潮位変動で被害を与えることがあるそうですが、
今回の潮位変動、時刻・場所ともあまりにも地震とシンクロしていたために、
気象庁もすっかり「だまされてしまった」というところでしょうか。

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2007/07/17

【地震】中越沖地震「緊急地震速報」発信状況

 「新潟県中越沖地震」(この命名、なんとかならなかったものでしょうか?
「新潟県中越地震」と、あまりにも紛らわしい)での「緊急地震速報」発信状況が、
さっそく気象庁HPにUPされています。

 気象庁報道発表資料
「平成19年(2007年)新潟県中越沖地震」について(第3報)
http://www.jma.go.jp/jma/press/0707/16c/kaisetsu200707161600.pdf


 今年10月1日から一般向け情報提供が開始され、
NHKでもテレビ・ラジオ全波で速報することにしている「緊急地震速報」ですが、
P波到達とS波到達の時間差が少ない地震=震源が近い地震では、
速報の前にS波が到達してしまう=速報が間に合わない、という
原理的宿命を抱えています。

 今回の地震でも、震度6強を観測した柏崎市と刈羽村では、震源が近すぎ、
速報は間に合わなかったという結果になりました。
 さらに秋の一般向け速報は、誤報を防ぐため、
2地点以上で強い揺れが観測された場合に発表する
(現在の試験運用では、1地点のみの観測でも情報発信する)ことにしており、
「1地点速報」では3秒前に発表できた長岡市も、
「2地点速報」では間に合わなかったことが分かります。

 しかし、長野県で震度6強を観測した飯綱町では、
「2地点速報」が「S波到達の16秒前」に発表されており、
うまく使えば、ぎりぎりの場面で防災的効果を挙げられる可能性が示されました。

 今回の地震でも明らかなように、「緊急地震速報」は決して万能ではありません。
ですが、うまく使えば相当の効果を挙げることができる情報でもあります。
「劇薬は副作用も強い」ことを知った上で、
新しい情報を使いこなしていくための先導役を、いささかジャンルは違うのですが、
気象予報士のみなさまにもぜひ担って頂ければと思い、お知らせする次第です。

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2006/11/19

【地震・津波】量的津波予報での異方性の扱い

 今回の津波については、大陸棚斜面を進行する境界波や、
天皇海山列での反射波など、この海域での津波波動が
非常に複雑な挙動を示すことが改めて浮き彫りにされているようです。

 さて、津波のエネルギーは、震源域に対して短辺方向より長辺方向に、
より多く射出される性質があります。

            大
      ↑↑↑↑↑↑↑↑↑
     ┌─────────┐
   ← │             │ →
   小 │     震源域    │ 小
   ← │             │ →
     └─────────┘
      ↓↓↓↓↓↓↓↓↓
            大

 ですので、日本が、海溝の延びる方向に対して「小」の方向にあたる
千島・アリューシャン方面からの津波は、地震規模の割に小さくなることが多く、
逆に「大」の方向にあたる南米やインドネシア方面からの津波は
比較的大きくなる傾向があります
(南米からはハワイ諸島のレンズ効果や、地球の焦点効果も大きいのですが)。

 こうした異方性は、以前の気象庁の津波予報では考慮されていませんでした。
つまり、マグニチュードに応じて「大津波」「津波」「津波注意」のグレード別の「円」を、
震源を中心に描いて、その円がかかった地域にそれぞれの津波予報を発表する、
という手法だったからです
(実際の発表時には、予報官による人的判断でグレードの上げ下げが
加味されていました)。

 1999年以降の「量的津波予報」では、10万通りの事前シミュレーションを行なう際、
長辺が海溝軸に沿う断層面の設定と、その後の津波伝播の過程において、
異方性が考慮されることになっているはずです。

 個人的見解ですが、現在の予報システムの欠点として、
断層傾斜角を一律の値で計算している点があるのではないかと考えています。
既に気象庁でもこの課題に取り組み始めていて、
現行システムによる津波予報を出した後に、
広帯域地震計を使って速やかに震源メカニズムを決定し、これを使って再度、
津波シミュレーションを行なうことで、場合によっては修正予報を発表するという
「二段構えの津波予報システム」の開発を進めていると聞いています。

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2006/11/18

【地震・津波】津波予報解除のタイミング

 11月15日の千島列島付近の地震による津波は、
2年ぶりの津波警報→緊急警報放送でしたが、
地震情報なしでのいきなり警報でしたので、飛び上がらんばかりにびっくりしました。
さらに解除後に最大波を記録するなど、文字通り波紋が広がっていますね。

 さて、津波予報の基準ですが、次のような基準が示されています
(名古屋地方気象台HPより)

****************************************************************
1 津波による災害の恐れがない又はなくなったと判断される場合
  (津波の実況から、津波の高さが「津波注意」発表基準以下になったことが
   確認され、また津波シミュレーション結果等からこれ以上津波が高くならないと
   判断される場合など)は、津波注意報を解除します。

2 解除を行う際は、全ての予報区を一斉に解除せず、
  条件を満たした予報区から順次解除することがあります。
****************************************************************
1 津波の高さが「津波注意」発表基準以上であっても、以下の条件が
  満たされ防災上問題はないと判断される場合は、津波注意報・警報
  を解除することがあります。この場合は、同時に、完全に安全な状
  況になった訳ではない旨を周知します(例中←ア ※筆者省略)。
 ・津波の高さが警報レベルではないこと。
 ・津波注意報・警報を発表したことが、一般に十分認知されたと判断
  できること。
 ・津波が長く継続し,津波の状況についての一般の理解が十分である
  と判断されること。
 ・津波がこれ以上高くならないと予測されること。
 ・現に、津波による災害が発生中でないこと。

2 津波警報を発表した場合は、津波の実況を見ながら、津波注意報へ
  の切り替えから解除へと段階を経て進むことを原則としますが、津
  波の減衰が急であるなど、津波注意報への切り替えを経るまでもな
  く、直接解除することが可能な場合はこの限りではありません。
****************************************************************

 この基準に照らせば、5時間に渡って警報や注意報を発表していることをもって
「一般に十分認知されたと判断でき」
「津波の状況についての一般の理解が十分であると判断」して
解除に踏み切ったと見ることもできます。
 しかし解除時に必ずしも津波波高の減衰が顕著ではなかったこと、
結果的にであるとしても、最大波が津波予報解除後に発現したことを合わせると、
あの時点での解除や、注意報の再発表をしなかったことへの疑問は残ります。

 過去の例では、1986年5月8日のアリューシャン付近の地震で、
津波注意報が12時間継続したり、
新しいところでも2003年9月26日の十勝沖地震では13時間半に渡ったりした
例もありますので、5時間という発表継続時間は決して長いものではありません。

 早期解除は「避難した住民に配慮したのでは」という見方もあるようですが、
もともと気象庁は津波注意報では
「特に津波に脆弱な地域以外は陸上において避難の必要はありません」という
見解を示していますので、警報からの切替をもって、
危険のない地域への避難指示・勧告の解除を検討することで、
住民への影響を最小限に抑える知恵も必要だったのではないかと考えます
(もちろん注意報が継続の間は、
海沿いや川の河口付近には近寄らないようにすることは言うまでもありません)。

 どうも量的津波予報開始以降、前述の十勝沖地震を除いては、
予報に比べて実況が小さいという例が続いてしまっています。
気象庁の津波予報に対する迅速化・高分解能化の取り組みは評価しますが、
「オオカミ少年現象」が顕著になりつつあるのではないかと、とても心配です。

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